デジタルサービスやデータに対する需要がかつてないほど世界中で増大しているため、データセンターは著しい成長を続けています。2023年3月のResearch and Marketsによるレポート1 では、データセンターの建設市場は、2028年までに807億米ドルに達し、2022年から2028年までの年平均成長率は7.81%になると予測されています。
こうした成長により、大量の電力や材料資源を消費する部門にサステナビリティの課題がもたらされています。データセンターは現在、世界のエネルギー消費量の1~1.5%を占めており、2030年までに8%に増加すると予測されています2。
データセンターでは、冷却は水に依存しており、水は世界の多くの地域で希少資源となりつつあります。ITインフラで使用される材料の供給には限りがあるため、レアメタルなどは、必要量の確保が困難な場合も生じています 。
長期的にみると、データストレージ技術のイノベーションや量子コンピューティングなどの分野の進歩により、データセンターはより小さなフットプリントでより多くのストレージとコンピューティングパワーを提供できるようになる可能性もありますが、現在では、データセンターのサステナビリティが主要な優先事項です。 この記事では、データセンターのサステナビリティを実現するための主要な優先事項と、それに向けて行われている取り組みについて紹介します。
データセンターには、サステナビリティを向上させ、環境フットプリントを削減できる明確な優先分野がいくつかあります。
データセンターのCO2排出量を最大限削減できるのは、国の電力供給業者が再生可能エネルギー源に移行するときです。とはいえ、国連3によると、2020年代初頭における再生可能エネルギーによる世界の電力は、わずか約29%であり、この取り組みはまだ道半ばです。
その一方でデータセンターのバリューチェーン全体の供給業者は、データセンターのIT、冷却、その他の電力インフラの使用方法に関するエネルギーパフォーマンスの効率化の実現を模索しています。電源に関わらず、データセンターのコンポーネントの電力消費を最小限に抑えることは、経済と環境の双方において意味のあることです。
再生可能エネルギーへの移行と電力効率を最大化するための継続的な努力を結び合わせると、データセンターが2030年までにネットゼロという業界目標に向けて取り組むうえで役立ちます。
データセンターの建設や設備に使用される材料やプロセスには、環境への影響を最小限に抑え、サステナビリティを最大限に高めるうえで、さらなる可能性を提供しています。
原材料の選択、廃棄物を最小限に抑える製造方法、長期にわたる修理や改修の実現、耐用年数終了時のリサイクルの達成を可能にして循環型経済へのトレンドを支持するよう設計されたコンポーネントなど、サステナビリティはさまざまな段階で設計に取り入れることが可能です。
データセンターのバリューチェーン全体におよぶパートナーは、以下のようなイノベーションを通じてサステナビリティを実現し、この分野に貢献できます:
- より電力効率が高く信頼性の高いプロセッサー。高い処理性能を持つコンポーネントには、コンポーネントを効果的かつ効率的に冷却することが求められており、過熱はコンポーネントの故障をもたらしかねません。新しい設計と材料を使用した基板レベルでのコンポーネントの冷却改善により、より電力効率が高く信頼性の高いソリューションが実現します。
- 冷却用に非飲料廃水や海水を浄化したり、可能であれば、水ベースの冷却の代替品に切り替えたりすることで、ウォーターポジティブを実現できます。
- コンポーネント製造のあらゆる側面でサステナビリティに重点を置き、製品の長寿命化を実現し、製造が環境に与える影響を最小限に抑え、耐用年数終了時の再利用とリサイクルを促進するための材料とプロセスを採用します。
ヘンケルは、材料に関する専門知識や、さまざまな業界での長年のイノベーションと協力の経験、そしてサステナビリティへ取り組みを活かして、OEMや供給業者の皆さまと一緒に、データセンターの持続可能な未来づくりに貢献できる理想的なパートナーです。
データセンター環境での長期にわたるサステナビリティを実現するには、バリューチェーン全体にわたる継続的なイノベーションとコラボレーションのプロセスが求められます。ヘンケルは、材料技術における専門知識を活かしてそのプロセスに貢献できることを嬉しく思います。LinkedInまでご連絡ください。喜んで情報をご提供いたします。
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