プラスチック規則(EU 10/2011)における「Union List(ユニオンリスト)」は、評価済み物質の最大かつ包括的なポジティブリストです。特定の規制が存在しない食品接触材料(FCM)の場合、このユニオンリストが参照されます。もし、その物質がプラスチックに使用されないために、ユニオンリストに掲載されていない場合は、各国の国内法を確認するか、自社で毒性評価を実施する必要があります。紙および板紙については、ドイツBfR推奨36がよく参照されます。プラスチックフィルムの場合はプラスチック規制が適用され、セルロース系の場合は再生セルロース指令を参照します。
REACHの主な趣旨は、作業者だけでなく一般の人々にとっても安全な曝露レベルを導き出すことです。その点で、毒性試験は主な曝露経路を反映したものとすべきです。実際のところ、経口経路は最も関連性の高い経路ではないことがよくあります。ただし、原則として、吸入または経皮試験から取得したデータも使用できる場合がよくあります。この理由としては、食品接触の場合、最も重要な側面となるのは、経口摂取後に全身に行き渡る用量だからです。吸入または経皮試験から取得できるデータがあり、例えば、皮膚浸透など、それぞれの物質が全身に行き渡る量を示す毒性動態のデータも入手できる場合は、それらを使用することができます。そのようなデータがない場合でも、追加の安全係数を導入することで評価は可能です。
欧州規制では、食品への直接接触と間接接触の区別はありません。SMLが守られている限り、食品への接触は認められています。もし特定の物質の以降限度を超えた場合は、接触エリアを修正する必要があります。
製品が食品接触について評価されたとき、当社は処方をブロックして、新しい原材料情報が利用可能になった場合、配合が変更された場合、関連法規が変更された場合に再評価を実施します。
食品パッケージ業者や飲料会社は、自社製品のリスク評価を実施するにあたり、サプライチェーン内の"十分な情報"を取得するために当社の食品接触適合証明を必要としています。当社のリスク評価の結果がなくしては、責任を果たすことができません。詳細については、当社の食品接触ステートメントに関する記事をご覧ください。
サプライチェーンの各メンバーは、リスク評価の改善を実施するため、情報交換を行う必要があります。より円滑に情報が行き届くようになれば、最終製品のリスク評価の精度も向上します。サプライチェーンにおける情報提供に関するEUガイダンスは、サプライチェーン内すべてのメンバーの役割と責任を定義しています。
基本的に、マイグレーションは拡散プロセスであると考えられており、主に接触時間、接触温度、化合物の化学的性質、分子のサイズなどの影響を受けます。分子量>1000ダルトン以上の大きさの分子はマイグレーションに寄与しないと考えられています。
アルミニウムのような金属箔やガラスのような材料は、絶対的なバリアであると考えられています。アルミニウムは、酸性の食品に直接接触すると腐食するため適用できません。さらに、アルミ蒸着フィルム等で特に発生するピンホールのような損傷があると、マイグレーションにつながる可能性があります。厚いPET層のような機能的バリアに関しては、内容物の使用条件あ保存期間に依存しています。EVOHのような材料は、優れたバリア性があることで知られているものの、高湿環境では大幅に劣化します。
実際のところ、毒性の観点からすると、検出限界が0.01ppbで検出されない物質について問題はありません。これは、CMR物質を除けば、有害物質の場合にも当てはまり、健康リスクは想定されていません。
ボトルは充填されると、王冠やキャップが既に取り付けられた状態でラベル付けされ、ガラスやPETによるバリアが形成されるため、接着剤がボトルの内容物と直接接触することは現実的には起こり得ません。ただし、王冠がアルミホイルで覆われている場合、ボトルから注がれた飲料が破れたアルミホイルに接触することがあり、間接接触が生じる可能性があります。通常、王冠を覆うアルミホイル部分に接着剤を付けないことで、間接接触を回避します。いずれの場合においても、飲料会社は自社製品のリスク評価を独自に実施することができるよう、サプライチェーン内で"十分な情報"を取得するために当社の食品接触ステートメントを必要としています。当社のリスク評価の結果がないと、責任を果たすことができません。詳細については、当社の食品接触ステートメントに関する記事をご覧ください。
パッケージング材料を構成する組成や用途に大きな変更が生じた場合にはいつでも、製品の試験を実施する必要があります。
人間の健康に関するリスク評価は常に複雑なプロセスです。当然のことながら、毒性リスク評価の基本原則に従う必要があります。残念ながら、一般的なガイドラインを示すことはできず、常に個別の事例に沿って対応する必要があります。毒物学の専門知識がなければ、リスク評価を実施するのは間違いなく困難です。自社に専門家がおられない場合には、外部コンサルタントと協力することをお勧めします。勿論、問題の物質がヘンケルの接着剤に関する場合は、ご連絡いただければ喜んでサポートいたします。
一般的に、FCMを上市する企業は、各関連法規を遵守する責任があり、材料に関連した健康リスクがないことを確認する必要があります。これにはNIASの評価も含まれます。勿論、材料に特定の物質が含まれていることがわかっている場合にのみ評価を実施できます。そのため、材料に関連するNIASを理解しておく必要があります。NIASを特定するために独自の分析調査を実施する必要性に関しては承知しておりません。そのため、サプライヤーの証明書に依拠できる可能性もあります。ただし、サプライヤーが十分な情報を持っていなかったなどの理由で正確な申告をしていなかったことが判明した場合、潜在的な責任に関して法的問題が発生する可能性があります。サプライヤーとの関係性や、そのサプライヤーとの間で信頼関係を築けるかどうかに応じて、ケースバイケースで決定することをお勧めします。さらに、分析のスポットチェックを実施すると助けになる場合もあります。詳細については、当社の食品に安全な材料を使用したパッケージングの記事をご覧ください。
一般的に、FCMを市場に出す会社には各法令を遵守する責任があり、材料に関して健康リスクがないことを確認する必要があります。これにはNIASの評価も含まれます。
多くの化学物質が食品の官能特性に影響を与える可能性があります。これは食品の種類によって異なります。
食品接触状態に関するステートメントや副産物や不純物の仕様など、使用されている原材料に関する情報が多いほど、迅速に評価を実施できます。一般的な所要時間を定義することはできません。例えば、毒性評価が必要であるものの、毒性についてのデータが文献に見つからない場合は、時間を要する研究が必要となる可能性もあります。
これは食品模擬物質とパッケージング材料およびその成分との相互作用によって異なります。例えば、3%酢酸などの酸性シミュラント質はアミンをプロトン化する傾向があるため、水系シミュラントへの溶解性が向上します。有機溶媒またはエタノールを多く含む溶媒は、親油性化合物を容易に溶解する傾向があります。
ヨーロッパでは、当社の原材料サプライヤーは原材料(防腐剤、安定剤など)に変更があった場合には弊社に通知する旨の誓約書に署名しています。変更があった場合、当社は再度リスクアセスメントを実施し、ステイトメントを更新しなければなりません。これにより、お客様もご自身のリスクアセスメントを更新することができます。
製品が食品接触について評価されたとき、当社は配合をブロックして、新しい原材料情報が利用可能になった場合、配合が変更された場合、法律が変更された場合に再評価を実施します。
食品パッケージングに使用されるラミネート中のPAAを検出するには、光度法とHPLC法という2種類の異なる方法が使用されます。光度法は、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が勧告しているため、BfR法と呼ばれることがよくあります。これは、許容可能なコストで迅速にスクリーニングできる方法ですが、偽陽性のリスクがあります。感度に限界があるため、異なるPAAを区別できず、すべてのPAAの合計が示されます。光度法の結果が信頼できないと思われる場合は、HPLC法を使用できます。HPLCは高圧液体クロマトグラフィーの略です。この技術は優れた感度を発揮し、干渉がほとんどなく、異なるPAAを区別できます。
どちらの技術もサンプル調製は同じです:PAAは新しく製造されたラミネートから3%酢酸で抽出されます。この点から、技術が異なります。BfR法では、アミンは紫色に変換され、校正は基準アミンを使用して行われます:アニリン塩酸塩です。これが基準色となります。ポリウレタンシステムの硬化反応中に発生するアミンはMDA異性体とTDA異性体であり、これらは着色に対して異なる反応を示します。これらの異性体のうち1つは、アニリン塩酸塩と比べて約20%程度の応答係数しか示しません。。EUの法令では、10ppbの制限値が示されています。フォトメトリック試験ではPAAを区別しないため、反応係数が最も低いアミンがラミネート内のアミンであると仮定する必要があり、そのため、確実に10ppb未満となるよう係数5で計算する必要があります。HPLC法は正確であり、10ppbという制限を検出限界として使用できます。単一PAAのLODは1.5 ppbです。
芳香族のノンソルラミネート用接着剤はレトルト用途に使用可能ですか?可能ですが、いくつかの条件があります。高温では、完全に硬化したウレタン系芳香族接着剤は分解するため、反応前の物質であるOHとNCOに戻る可能性があります。そのとき、有害もしくは毒性を持つ物質が生成され、それが食品中へ移行可能なほど小さい分子であれば、問題起こりえます。新しく生成された(芳香族)NCOが水分子と出会うとすぐに、発がん性があるとされる芳香族アミンに反応します。>芳香族ウレタン系接着剤はハイレトルト用途には使用すべきではなく、脂肪族系接着剤が安全な選択肢となります。>または、温度は~121°Cに制限されている場合、その温度までであれば、特別に設計された芳香族接着剤ならば安全に使用可能です。
必ずしもそうではありません。レトルト後に光度計でPAAをチェックして値が2ppb未満の場合、ラミネートは食品に適合しています。逆に2ppbを超える値が検出された場合、それが実際の値なのか、あるいはCPPフィルムの添加剤などに由来する偽陽性なのか、判断がつきません。
ポリアミドは水を吸収してその構造内に保持する、一種のバッファとなります。ウレタン系接着剤をナイロンフィルムに塗布すると、フィルムと接着剤の間で水の奪い合いが発生します。ポリウレタンは十分な水がないと最終的に硬化できませんが、水が滞留していると硬化に時間がかかります。
トリアセチンは、規則(EU) No 1129/2011に基づき、食品添加物として許可されています。ただし、チューインガムに使用する場合に限ります。その他のすべての食品には、プラスチック規制のSML値を適用する必要があります。トリアセチンは、プラスチック規制のFCM No. 40にリストされており、特定のSML値はありません。この場合、この物質はOML値の60 mg/kgまでは食品への移行が許容されています。
可塑剤は配合にパーセントの範囲で存在しており、これはワーストケースの算出を行うには含有量が高すぎます。可塑剤が食品に素早く完全に移行することはよく知られているため、可塑剤を含む接着剤を使用する場合はマイグレーション試験を実施する必要があります。
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