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ヘンケルアドヒーシブテクノロジーズ(接着技術)

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液浸冷却は持続可能なデータセンターへの道を開くか?

この記事では液浸冷却を持続可能性への道を開く技術の1つとして取り上げ、その利点と課題を比較検討し、データセンターの持続可能性の推進が液浸冷却をニッチな技術から主流の技術へと移行させるのに十分であるかどうかを考慮します。
5 分.
これは0と1のデジタルマトリックスベクトルが積み重ねられたサーバーラックの画像です。

2020年代半ばにデータセンターはジレンマに直面

AIと機械学習の技術が成熟するにつれて、より多くのデータや処理能力を必要とする声が高まり、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、処理能力、ストレージの需要が急増しています。 

その結果、データセンターが処理できる容量へのプレッシャーが高まりつつあります。McKinsey1 の電力消費に関する報告によると、米国のデータセンターの需要は2022年の17ギガワット(GW)から、2030年には35GWに増加すると述べられています。 

ジレンマとなっているのは、容量に対する需要の高まりに対して、データセンターは持続可能性とネットゼロに対する義務も果たす必要があるということです。

コンピューター技術者は多くの処理能力とストレージをより狭いスペースに収納するため、電力密度を高める新しい方法を模索し続けていますが、中期的な観点からすると、この問題への取り組みは十分ではない可能性もあります。2020年のMITテクノロジーレビュー2 の記事によると、ムーアの法則を信頼して、各シリコーンウェハーにコンピューティングパワーをさらに搭載し続けることには限界があるため、短期的な観点からすると、サーバーラックの高密度化以外に代替技術はないと警告しています。 

このような状況では、既存のデータセンターのインフラにおける環境への影響を軽減することが主要な目標となります。冷却は、サーバーとIT機器に次いでデータセンターの電力とスペースを最も必要とするため、冷却技術におけるイノベーションはデータセンターでのジレンマを解決するうえで重要な役割を担っています。 

このブログでは液浸冷却を持続可能性への道を開く技術の1つとして取り上げ、その利点と課題を比較検討し、データセンターの持続可能性の推進が液浸冷却をニッチな技術から主流の技術へと移行させるのに十分であるかどうかを考察します。

これはグリーンエネルギーを表す電球の上に緑の世界地図が描かれている画像です

液浸冷却とは?

液浸冷却は、熱を分散させる手段として、熱伝導率が高く、電気伝導率は低い液剤にIT機器を沈めることで機能します。

液浸冷却の基本的なアプローチには2つあります: 

単相式液浸冷却は、冷却分配ユニット(CDU)にタンクを接続して液体を冷却して再循環させる方式で、ユニット内の液体は常に液状です。 

二相式液浸冷却では、コンデンサーコイルなどの熱交換器を使用して、冷却液の気化と液化により冷却します。 

2019年のData Center Dynamics3 のブログで指摘されているとおり、液浸冷却は新しい技術ではなく、100年以上前から高圧変圧器の冷却に使用されており、1960年代からはコンピューターシステムでも使用されてきました。近年、液体冷却、特に液浸冷却に対して再び関心が集まっていますが、その理由は、特に高密度サーバーラックの空冷と比べて冷却効率が向上するだけでなく、IT冷却システムの電力と規模を大幅に削減できる可能性も指摘されているからです。

液浸冷却の要件とサーマルインターフェース材料の役割

現代の液浸冷却は、新しい技術です。 

オープンコンピュートプロジェクトが液浸冷却の要件を発表4 したのは、2022年と最近ですが、これを主流にするための作業はまだ進行中です。 

材料技術の専門家として、ヘンケルは液浸冷却で使用するサーマルインターフェース材料に大きな関心を寄せています。 

ほとんどの放熱方式と同様に、液浸冷却の効率は、熱が発熱部分から冷却剤にいかに効率よく伝達されるかにかかっており、この点において、サーマルインターフェース材料は重要な役割を担っています。 

液浸冷却には独自の課題があり、例えば、従来のサーマルインターフェースグリースは冷却液に溶けやすいなどの傾向があります。 

ヘンケルは、サーマルインターフェース材料に対する液浸冷却の影響について意欲的に研究しています。

液浸冷却の利点と課題

液浸冷却は、コスト削減、 容量増加、環境への影響の最小化を目指すデータセンタープロバイダーにとって 魅力的で、他の冷却方式よりも優れた利点を提供します

液浸冷却は、空冷よりも本質的に電力効率が高く、液浸されたサーバーや他のITコンポーネント全体を直接冷却できるという利点もあります。 

また、他の方式よりも可動部品や電気部品が少なくて済みます。

これらの特性を組み合わせることで、コストと持続可能性にさまざまなメリットがもたらされます:

  • 同レベルの冷却で消費電力を大幅に削減 
  • 部品全体の一貫した冷却により、コンポーネントの信頼性が向上
  • 総所有コストと運用コストの低減
  • メンテナンスコストの低減 
  • 騒音の低減

2022年のScience Directの記事5 では、これらの利点のいくつかを説明しています。 以下に示すとおり、液浸冷却は導入への大きな障壁もあるため、現在のところはニッチな技術のままです: 

  • 必要なインフラの資本コストが高い 
  • レガシーデータセンターにおけるレトロフィットの課題
  • データセンターのレイアウト再設計の必要性 
  • 冷却液が不足しており、&機器の設置と保守にはスキルが求められる
  • 二相冷却に必要な液体は有害であり、環境に優しくない

液浸冷却は主流になるのか?

これらは、液浸冷却が主流になるうえでの大きな課題ですが、現在のところ、データセンターに必要なエネルギー消費を段階的に削減できる実現可能で検討できそうな代替案は他にありません。 

液浸冷却はすでに、暗号通貨マイニングやグリーンフィールドの持続可能な導入における重要な実現技術となっています。データセンター全体の電力消費を超えて見ると、液浸液体冷却システムへの移行を加速させている特定の要因があります。

ラックの電力密度の向上 - 生成AI、ML & HPCワークロードにより、データ計算性能のニーズが増大しています。結果として、より高いラック電力密度が要求されることになります。ラックの電力密度が高くなると、空冷方式では、効率的な冷却が課題となります。液体ベースの方式として、主に液浸冷却が、唯一の実行可能なソリューションになる可能性があります。

エッジコンピューティング - エッジコンピューティングは、消費ポイントの近くに処理能力を配置することで、地理的に拡散しているエンドポイントの増加に対して高い処理能力と速度を提供します。2023年から2028年の間に市場規模は2倍になると予測されています6

液浸冷却により、データセンターに必要な設置面積を大幅に削減し、環境への影響をより抑え、より静かなデータセンターを実現する可能性があります。これらはすべて、エッジコンピューティングに必要な小規模で地域的なデータセンターを実現するための重要な基準です。

持続可能で環境に優しいデータセンター – 液浸冷却技術は、水の使用効率の向上と電力消費の削減を実現しながら、データセンター業界が2030年のネットゼロ目標を達成するうえで重要な役割を果たす可能性があります。

今後の予定

液浸冷却に関する情報をさらにお知りになりたい場合は、LinkedInをご覧ください。

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