プライベートワイヤレスネットワークの将来はどうなるのか?

2021年1月のブログ¹で、「ダイナミックで新しいテクノロジーが日々登場する中、5G対応プライベートネットワークの加速的な導入は、今日のトップクラス企業にとって『新しい標準』になる準備が申し分なく整っています」と書きました。

5Gプライベートネットワークは予想したほどの速い成長を遂げてはいないものの、この表現はやはり真実だと私は信じています。

デジタルトランスフォーメーションとモノのインターネット(IIoT)は、工場の現場から輸送トラックまたその先まで、あらゆる場所で、より高速で大容量、より堅牢で安全なワイヤレス接続を求めるビジネスニーズを牽引しています。

これにより、企業における5Gの優れたユースケースが生まれます。2021年には、5Gは素早く展開し、企業のプライベートネットワークが加速すると考えられていましたが、2年経った今は、現状を再評価する良いタイミングです。

Wi-Fiと4G/LTEは、プライベートネットワークで依然として重要な役割を果たしています。5Gは、比類のない容量、速度、モビリティ機能、そして安全性を備えており、今後の流れを変える可能性が残っています。Citizens Band Radio Service (CBRS、市民帯域ラジオサービス)などのサービスは、プライベートネットワークの展開にスペクトル共有を活用する、さらに大きな可能性を示すものです。

この記事では、5G対応プライベートネットワークが、デジタルトランスフォーメーションとIIoTの移り変わりにとってどのような価値があるのかを振り返り、プライベートネットワーク分野がどのように発展しているかに目を向け、次の方向性を考察します。

真にデジタル化された企業には、十分な接続があります。あらゆるプロセスに関わるすべての関係者が、データ、情報、インテリジェンスの流れに関わっていることで、プロセスが最適化します。

その接続をどこであれ必要とされる場所に、迅速、確実、 かつ安全に届けることが必須要件です。 

5Gネットワークには下記のような比類のない接続機能があります。 

• 超高速、大容量
• 安定した信号強度
• 本質的に安全な設計
• 特に遠隔地の屋外や工業地域において、Wi-Fiよりも効率的で信頼性の高いカバレッジ 
• デュアルSIMを使用した、5Gネットワークとのシームレスな統合
   

こうした機能により、デジタルおよびIIoTのさまざまなアプリケーションが可能になります。 

2022年のmanufacturer.comの記事では、ラストマイル配送に自動運転車を使用するデジタル企業が、5G対応プライベートネットワークに頼ることで、安全で効率的な運用に不可欠な低遅延ネットワーク、高速、信頼性の高い接続とセキュリティをどのように実現できるかについて説明しています。

同じく2022年のCapgeminiの洞察では、製造工場における5Gプライベートネットワークの必要性の高まりについて論じ、これが「相互接続されたセンサーとアクチュエーターを備えた自律ネットワークを実現し、人を介さなくとも生産性を向上できるようコラボレーションを強化する」としています。

業界関係者の間では、近い将来に5GがWi-Fiに取って代わることはないとの見方で一致しています。むしろ、この2つのテクノロジーは、企業のワイヤレスネットワークにおいて補完的な役割を果たし続けるでしょう。 

たとえば、内勤スタッフは、オフィスや社内の敷地でリモートVPNと高速大容量のWi-Fの間を引き続きシームレスに行き来することができ、リモートおよび企業のIoTデバイスは、5Gプライベートネットワークを介して接続できます。

無線ネットワーク技術とサービスの革新は、2021年以降急速に進んでいます。 

RCR Wireless²の報告によると、5Gでは、2021年に3GPPリリース18が開始しました。これは、5G-Advanced に向けた新たな一歩であり、かつてなく要求の厳しいアプリケーションに対応できるよう5Gを進化させるものです。

リリース18では、人工知能(AI)と機械学習(ML)の機能を導入することで、複雑なマルチアンテナ、マルチ波長帯、マルチテナントネットワークを管理し、これにより使用体験がよりスムーズで豊かなものとなり、効率が高まり、消費電力は削減されます。

Wi-Fi6、および6Eでは、6Ghz帯域が開放され、速度、容量、同時接続デバイス数が向上します。Wi-Fi7は、さらに進化し、より広いデータチャネルによって容量が増加し、レイテンシが短縮され、接続数が増えることが見込まれています。 

コンサルタントSTL Partners³ による一連の記事では、CBRSが周波数共用の成功実験としてどのように発展しているかを取り上げ、企業が最小限の投資と複雑さでプライベート5Gネットワーク機能を構築する可能性を示しています。

プライベートワイヤレスネットワーク部門は、他の業界やテクノロジーと同様に、サプライチェーンまた地政学的な面での逆風に直面しており、無線エリアネットワーク(RAN)コンポーネントなどの分野で、予測よりも成長が遅いことにそれが反映されている、と2023年にDell'oro Group⁴レポートで報告されています。

技術の慣性も一因となっており、企業の完全な導入がリスク回避と投資制約により阻まれています。

プライベートネットワークの成長軌道の現状から、多くの企業が既存のWi-Fiおよび4G/LTE機能を引き続き活用し、徐々に発展させていくことが予想されます。 

ビジネス要件として5Gの容量、速度、堅牢性、セキュリティが求められるところで、概念実証またはポイントソリューションとして、プライベート5Gネットワークに投資する企業が増えると予想されます。 

デジタルとIIoT接続に対する需要の高まりが、5Gテクノロジー市場の成熟と相まって、CBRSのようなマネージドサービスが主流になることが期待できます。これが究極的な転換点となり、5Gプライベートネットワークの展開を加速させることがトップクラス企業にとって「新しい標準」になり、統合ワイヤレス接続アーキテクチャの一部になることでしょう。 

この変化に対応したいとお考えの企業は、以下が有効です

付加価値の概念実証を実行する。5Gが特定のビジネス価値を加えることに重点を置くトライアルを実行し、これを通じてテクノロジーとそれで何ができるのか、またWi-Fiなど他の接続ソリューションとの連携方法を理解するようにします。

CBRSなどのサービスを活用する–周波数共用サービスにより、インフラストラクチャと専門知識に多額の投資をすることなく、5Gプライベートネットワークの展開を開始できる可能性があります。 

より広範な接続戦略の一環として5Gプライベートネットワークを発展させる– 5GとWi-Fiは、いずれもデジタルビジネスの接続において重要な役割を果たします。5Gは既存のWi-Fi機能と並行して発展させることができます。それぞれを最も価値を付加できる場所で展開させながら、AIおよびMLのネットワーク管理機能の成長につれて、シームレスな統合を進めることができます。

ワイヤレスプライベート ネットワークの将来について、皆様のお考えを聞きたいと思っています。LinkedInでご連絡ください。喜んでこの続きをお話ししたいと思います。