カスタマイズされた先進材料には、コーティング剤、接着剤、サーマルインターフェース材料などがあり、自動車メーカーのEVにおける新しい課題や革新への取り組みに役立っていますが、残る課題はEVがより主流として受け入れられるようになることです。見識を得るため、ヘンケルのe-モビリティグローバル市場戦略責任者から話を聞きました。
EVにカスタマイズされた先進材料を使用するメリットに疑問の余地はありません。消費者の採用を促進すべくメーカーが競争するうえで、先進材料のイノベーションは強力な推進力となります。
たとえば、車両の航続距離を延ばすには、EVは同クラスの内燃機関車両よりも軽量で効率性が高くなければなりません。しかし、車両重量を軽くすると、車両の耐久性と安全性も低下します。より軽量なEVを開発し、厳格な安全ガイドラインを満たすと同時に、コストを削減し、生産を合理化し、ネットゼロのサステナビリティを維持するというプレッシャーがあります。こうした複層的で互いに相反しがちな目標を解決するのは容易ではありません。しかし、正しく実行すれば、その価値はあります。適切なバランスを達成することで得られる改善は大きなものです。
ある用途では、設計の最適化とともにヘンケルの構造ソリューションを応用することで、電気SUVボディの重量を約10%(42キログラム)削減し、接合部材を6%削減しました。これらの成果を得ると同時に、衝突基準および性能基準の目標も満たしています。採用された軽量化戦略には、既存の金属のダウンゲージ、プレス加工方式の最適化、および既存の構造を変更して特定の部品を取り除くことが含まれます。
先進的な材料ソリューションは、EV設計の驚異的な改善を可能にする一方で、製造においても高速処理やサイクルタイムをサポートする必要があります。革新的な化学技術を用いて材料を設計し、自動車業界最先端の高速製造基準を満たす必要があります。
生産性を高める特性を得るには、化学配合のカスタマイズが不可欠です。製造工程の合理化に役立つ特性には、早い硬化時間、ポンプ圧送性、難燃性、溶接性、耐湿性、および耐洗浄性などがあります。製造工程では、化学配合も最適化して廃棄物を最小限に抑えます。たとえば、塗装工程でのスラッジを削減します。自動車製造における有害廃棄物の主な出どころは塗料スラッジであるので、これは重要な事柄です。スラッジを削減すると、廃棄物、コスト、環境への影響の削減など、さまざまなメリットが生まれます。
巧みに作られた先進材料は、総合的な改善をもたらします。なかでも大きな部分を占めるのが製造工程の強化で、効率、有効性、サステナビリティを高めることができます。
塗装工程では、スラッジを削減するように先進材料を配合し、廃棄物、コスト、環境への影響を削減するという主な成果を上げています。
適切なアプローチでエンジニアリングすることで、EVの設計製造プロセスにおける先進材料イノベーションの展開を加速できます。その理由は、EVの設計と製造過程で導入する前に事前テストを行い最適化することが、スピーディに成功する上で極めて重要だからです。メーカーの声を取り入れ、高度なシミュレーション、数値解析、ラピッドプロトタイピングなどのツールを使用すると、より優れた結果をより早く得られます。
ヘンケルは、EVメーカーのパートナーとして協力し、こうしたツールを展開できます。コンピューター支援エンジニアリングなどのシミュレーションツールは、配合を改良し結果を改善するのに役立ちます。数値解析はデータを活用してソリューションを構築することで時間とコストを節約するのに役立ち、3Dプリントでメーカーが本格的な生産に移る前に迅速なプロトタイピングができます。こうしたエンジニアリングの方式を組み合わせることで、時間を節約し、結果としてパフォーマンスが向上し、コストを削減できます。
高度なシミュレーション、数値解析、ラピッドプロトタイピングなどのツールを使用すると、より優れた結果をより早く得られます。
ゼロエミッションへの道のりには時間がかかります。EV全体とそのエコシステムを考慮した先進材料のイノベーションは、EVの製造工程を、またEV自体を、より良く、より安全で、よりサステナブルにするのに欠かせません。
詳細はホワイトペーパーをご覧ください。「相性の良い化学の先に: EV普及の将来における先進材料の重要な役割。」
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