今日、電子デバイスで極めて重要なものは信頼性です。テクノロジー企業は、部品を小型化してその中に収まる最先端技術を開発できる可能性を更新し続けています。導電性接着剤(ECA)は、特に医療分野で電子デバイスの組立と高耐久化に不可欠なものになりつつあります。ヘンケルのシニアサイエンスプリンシパルであるMark Currie(マーク・キュリー)博士にインタビューし、このテーマを掘り下げるとともに、エレクトロニクス製品の生産における導電性接着剤の役割を紹介します。
導電性接着剤は数十年前から利用されており、はんだに代わる相互接続ソリューションとして電気的、機械的、熱的性能を発揮します。はんだは非常に頑強で展性が低く、導電性接着剤ほどの可撓性はありません。導電性接着剤は、展性のあるポリマーマトリックスに銀を分散させたハイブリッド型の相互接続ソリューションです。さらに、導電性接着剤は25℃から200℃(主成分によって異なります)で塗布可能で、最高175℃の連続使用温度に耐えます。
インタビューで私たちは、「なぜ導電性接着剤はより多くの用途のソリューションになっていくのか」を尋ねました。この重要な1つの質問に対する4つの答え - プロセス、信頼性、持続可能性、マクロの技術的ブレークスルー - とその背景を紹介します。
プロセス:高密度集積化によって、小型化ソリューションが一般的になりました。フレキシブル回路基板または温度の影響を受けやすい部品を内蔵した回路基板の場合、それぞれの課題に対応できる相互接続ソリューションが必要です。基板と部品の組み合わせに対して加工温度が高すぎると、熱膨張率の差によって基板または部品が変形して、接続不良を起こす可能性があります。対抗策として、導電性接着剤であれば、低温で(おそらく)短い硬化時間で相互接続が可能です。
信頼性:熱膨張率の差は将来的に予期できない初期不良につながる可能性があります。低温での塗布と接合に使用でき、かつ高い使用温度に耐える技術を用いることが現場での用途にとって唯一、有益な方法となりえます。
持続可能性:すべてのソリューションで持続可能性の影響を考慮に入れなければなりません。導電性接着剤は低温塗布性と速硬化性の2つの特長を備えた配合で、エネルギー使用量の低減をもたらします。
マクロの技術的ブレークスルー:最近のマクロドライバー(重要因子)の影響により、医療市場は患者の治療方法を考慮するようになっています。10年前には考えられなかったことですが、医療市場ではソリューションを強化するために小型化と5GおよびIoTを組み合わせており、これが提供されるソリューションに最大の影響を及ぼしています。
これらの回答をまとめて医療産業にあてはめてみましょう。過去18か月間にわたり患者モニタリングの個別の背景を検討してきましたが、5G接続を活用するスマートテクノロジーの未来に目を向けると、医療市場(またはバイオサイエンス市場)における遠隔患者モニタリングとそのテーマとしてセンサーが浮かび上がります。
センサーは、患者の健康状態を示す信号を提供するソリューションと考えられます。しばしば次の4つのカテゴリーに分類されます:電気生理学的センサー(頭皮上脳波(EEG)、皮質脳波(ECoG))、身体的センサー(体温、皮膚水分量)、バイオメディカルセンサー(血中グルコース濃度、汗成分)、バイタルセンサー(血中酸素濃度、血圧)。
これらすべてのセンサーにとって、一貫した信頼性の指標とは何でしょうか?実際のところ、いずれの用途も小型の電子デバイスですが「身に着ける(ウェアラブル)」可能性があるため、患者の化学的、身体的変化を吸収できなければなりません。一般的に最終組立品にはフレキシブル基板が使用され、患者の動きを吸収します。このような基板は部品を実装する際に温度の影響を受けやすい特性があります。さらに、相互接続が可能な柔軟性を要求されることから、5GとIoTを活用した遠隔患者モニタリングにおいて導電性接着剤が勢いを増しているのです。
ヘンケルの導電性接着剤をフレキシブル基板に使用した初めての「ウェアラブル」用途の例は、ディスポーザブルのグルコースモニタリングパッチです。1ドル硬貨の半分ほどの大きさで指と同じくらいの厚みがあり、導電性接着剤の低温塗布性、低温硬化性、柔軟性を活かした非常に小型で繊細な部品で構成されています。
組立時の柔軟と低温硬化性が要求される他の医療器具に、心臓の活動を連続で測定する心電図センサーの粘着テープがあります。この用途では信頼性が不可欠であり、患者の動作によって生じるすべての応力を吸収するためには、導電性接着剤のキャリアの主成分を適切に選択することが最も重要です。
次に、補聴器はそれ自体が頑強で使用時に変形することはありません。しかし、素材は軟質樹脂であり、内蔵部品は温度の影響を受けやすいため、従来の方法による組立では破損する可能性があります。
歩行センサーは靴の中に入れて使用するもので、歩行時の様子を計測して問題点を分析できます。人の体重を支えられなければならず、使用者の足の形状に追従する柔軟性が求められます。
「テクノロジーの進化とともに、バイオサイエンス用途は間違いなく発展します」とキュリー博士は言います。「現在および将来にわたり、クローズドループ型の遠隔患者フィードバックモニタリングシステムがまさにそうです。導電性接着剤はこの技術ソリューションを実現するカギの1つです。」
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