自動運転：産業と働き方に新しい変革をもたらすトレンドの高まり

近年、建設、鉱業、農業などの産業が非効率性や変化し続ける労働環境、作業環境に対処するための新しい方法を模索する中で、自動運転はその存在感を着実に高めています。 

これまで何十年もの間、企業は工程や設備を少しずつ変えてきましたが、今、事業のやり方が変わるほどの大きな革新的な転換に向けて準備を進めています。自動運転車を使うことで、より迅速かつ安全に費用対効果の高い方法でプロジェクトや作業を完了させながら、人は技能を必要とする作業に注力することができます。まだ初期段階ではありますが、いくつかの産業では自動運転車に事業のより大きな役割を任せることが検討されています。  

変化し続ける産業の様子とその理由を考察し、建設、鉱業、農業などの産業で自動運転を標準的なものにするためには継続的な変革と協力が重要であることを説明します。  

自動運転は急速に成長を遂げている分野で、建設、鉱業、農業などの産業で投資が行われています。 実は、自動運転は何十年も前から開発と試験が進められており、現在も順調に行われています。

1990年代以降、Caterpillar（キャタピラー）は鉱業分野で自動運転のイノベーションを主導してきました。現在、世界最大数の自律走行車両 を擁し、500台以上のトラックを稼働させています。2021年末時点で、同社のテクノロジーを利用する顧客は40億トンを超える資材を安全に運搬し、自動走行距離は1億4,500万キロを超えました。自動運転の利点を示すより多くのデータが明らかになるにつれて、Caterpillarなどの企業は他の産業でも使用できるように自社製品の規模を変えることを検討しています。 

Association of Equipment Manufacturersは、わずか数年の間に産業用大型車両の電化と自動化に真の変化が現れ出したと考えており、今後10年から15年の間に、80%以上の重機に電動パワートレインと自律運行システムが搭載されると予測しています。

自動運転の恩恵を受けるすべての産業の中で、建設業は今後数年のうちに様変わりする と専門家は見ています。建設作業は制御がしやすく、これが自動運転の有力候補になる主な理由です。また、他の産業と比べて、何十年もの間ほとんど技術革新が起きてなく、同じ手法とプロセスを使い続けています。多くのプロジェクトを予算超過、勤務超過でこなしており、その解決策として自動運転車への投資に乗り出しています。  

自動運転への移行が進んでいる理由は実にさまざまです。これまで人が行っていた危険な作業を自動運転車が担うことで、現場の安全衛生が改善されます。自動運転車はプログラム化されているため、プロジェクトの計画と結果をより正確に予測できるようになり、プロジェクトの期間を短縮できます。さらに、作業者は繰り返し作業ではなく、技能が要求される作業に注力できるようになります。これらすべての要素が相まって総コスト削減と職場の安全向上につながります。企業にとって得るものが大きいことは明らかです。 

自動運転によって人手不足の問題にも対処できます。コロナ禍以前から、多くの建設会社 にとって十分な数の建設作業員を確保できないことは1番の悩みの種でした。企業は2020年以前にすでに正規、非正規ともに必要な人員を確保することは困難であると認識しており、コロナ禍はその問題を悪化させたにすぎません。 

米国労働統計局（BLS）の推計によると、2022年6月の建設業の未充足求人数は33万4千人を超え、これは現在の求人数の4.2%に相当します。 鉱業および林業は34,000人で求人数の5.2%に相当します。人手不足の影響は農業など複数の産業とそのサプライチェーン で見られていますが、解決策の1つとして自動運転装置に注目が集まることは理にかなっています。  

自動運転のイノベーションは、OEM、テクノロジー企業、保険会社、規制当局、サプライチェーンのすべての関係者などが現行および新規の製品、技術を持ち寄って、産業の垣根を越えて協力できるかにかかっています。どれか1つの産業でも協力や参画を欠くと、自動運転は大企業のみが利用できるものにとどまる可能性があります。

ヘンケルもこの変革において果たすべき役割があると確信しています。当社は長年にわたり、最新電子機器の要求に応える熱マネジメント材料 のポートフォリオを構築し、製品の長寿命化と信頼性の確保をサポートしてきました。サプライチェーンにおける1つ1つの変革と改善によって、自動運転はより安全で効率性が高く、サステナブルで、現代のニーズを満たすより有益なものに変化していきます。