Global Market Strategy Manager – Sealants, Metals business
アルミ缶は消費されてからわずか60日で新しい缶としてリサイクルされます。この短い循環時間に加えて、アルミニウムは100%繰り返しリサイクル可能です。さらに、リサイクルされたアルミニウムから新しい缶を製造すると、温室効果ガスの排出量を95%削減することができます。
アルミニウムは最も環境に優しい素材の1つですが、私たちが日常的に使っている食缶や飲料缶は、目に見えないあるものがなければ存在しないでしょう。
缶ビールから野菜の缶詰まで、ほとんどすべての食缶と飲料缶にはシーリング剤が必要です。このシーリング剤で缶胴と缶蓋を接着することで漏れや汚染を防いでいるのです。
ほとんどの缶は、家庭の棚に数週間から数か月間保管されるため、内容物の保存期間をできる限り長くするためにもシーリングは非常に重要です。
アルミニウムは、最も循環型経済に適した素材のひとつとして、再び注目を集めています。アルミ缶は、そのサステナビリティに後押しされて、今後3年から5年の間に需要が約6%増加すると予測されています。
新しい飲料ブランドも他の容器と比較してアルミ缶を選ぶ傾向が強まっており、PETボトルからアルミ缶への移行も進むと予想されています。
一度アルミニウムが缶として製造、使用されると、先進国ではその約80パーセントがリサイクルされます。
地中から原料を採掘して加工し、新しくアルミニウム作るよりも、リサイクルして再圧延・再利用する方が、はるかに少ないエネルギーで済むため、平均的な缶1本あたりのカーボンフットプリントは非常に少ないものとなります。
このようなアルミニウムの人気の高まりは、アルミ缶の品質確保に必要なシーリング剤の需要拡大にもつながっています。シーリング剤は、缶蓋の製造工程で塗布されるゴム系ガスケットです。缶蓋がチャックの上で回転している間に、高速機械によってごく少量のシーリング剤が塗布され、缶蓋のカール部にガスケットが形成されます。この工程は非常に高速で行われるため、人の目にはほとんど見えません。
この目に見えない存在であるシーリング剤は、通常、食品や飲料と直接接触することはありません。一般的に、容器の上部には、食品や飲料との間にわずかな隙間(ヘッドスペース)があるからです。
しかし、缶が上下逆さになるなどしてシーリング剤が食品や飲料に偶発的に接触したり、モノマーが移行する可能性があることを考慮すると、すべてのシーリング剤はFDA(米国食品医薬品局)およびEUの承認を得た処方であることが重要です。
そのため、しようされる原材料は非毒性であり、人が摂取しても安全であることが求められます。このように接着剤の原材料選定は非常に重要な工程です。
ヘンケルのDAREX(ダーレックス)テクノロジーは100年以上前に発明されて以来、業界の生産の高速化に対応する形で進化を遂げてきました。
しかしながら、当初の処方が非常に優れていたため、基本的な組成はほとんど変わっていません。これまでの進化は、より高速かつクリーンな塗布を実現するための原材料改良に焦点が当てられてきました。そして近年では、食品および飲料の安全性を最大限に確保することが私たちのイノベーションの中心となっています。
ヘンケルでは、缶用シーリング剤製品において、法規制を上回る、トリプルセーフティプログラムを導入しています。
わたしたちはサステナビリティと食品の安全性は密接に関係していると考えています。そのため、製品の処方に使用するすべての物質に細心の注意を払い、懸念される物質が一切含まれないようにしています。
また社内の分析部門では、液体から固体のガスケットに変化する過程で起こりうる化学反応を調査しています。その際に生成される可能性のある反応生成物やモノマーについても、安全性を確認しています。
食品の安全性は、わたしたちにとって極めて重要なテーマです。ヘンケルの製品に含まれる物質について、ブランドオーナーや業界、世間一般から提供される最新情報を積極的に確認し、将来的に懸念される可能性のある物質をいち早く把握できるよう努めています。今後もこのような活動は継続していきます。
アルミ缶に適したシーリング剤を選ぶことは、漏れを防ぐだけでなく、缶の性能を高め、ロングライフ化にも貢献します。シーリング剤は消費者が安心して使える品質を提供するだけでなく、より環境にやさしく、企業の持続可能性にも貢献します。
詳しくは当社のウェブサイトをご覧ください。
金属事業部シーリング剤担当、グローバル市場戦略マネジャー
金属事業部シーリング剤部門のグローバル市場戦略マネジャーとして、より高いリサイクル性と持続可能性を備える製品や生産プロセスの効率化を求める動きなど業界のトレンドやイノベーションにもとづくグローバル事業戦略と製品開発戦略の立案を担当しています。事業&マーケティングのバックグラウンドと約15年間にわたる業界での経験を活かして、社内ステークホルダーとお客様に対して豊富な製品知識を提供しています。
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