- 電気自動車（EV）のAC/DC充電技術の開発者は、コンフォーマルコーティング工程を改善したいと考えていました。EV充電器内部の電源システムの整流回路基板（PCB）を保護するコーティングです。
- プロジェクトの目的は、製品の信頼性を維持または向上させて、エネルギー使用量を削減し、処理工程を簡素化、加速化させて、全体のコストを低減させることでした。
- コンフォーマルコーティングは、水分、混合ガス、極度の環境条件による汚染から電子部品とサブシステムを保護する重要な素材です。特にハイパワーエレクトロニクス製品に不可欠です。
- 当時お客様が使用していたコンフォーマルコーティングはVOCを含有する溶剤系の処方で、目的の膜厚を得るために2段階の工程を必要とし、時間とエネルギーを要するものでした。フラッシュオフ（1回15分）と乾燥炉による硬化（1回30分）を2サイクル行うため、合計で1時間半もかかっていました。
- 材料の約78%は溶剤で、すなわちフラッシュオフ後、PCBに残る固形の材料はわずか22%と、膨大な材料費とムダが生じていました。必要な膜厚を得るために、2回目の炉の通過を必要としたのです。膜厚の問題に加えて、コストも懸念事項でした。製品のために多額の支出をしながら、その4分の3は環境中に揮発していたのです。
- EV充電インフラに求められるものは、材料の信頼性と業界最高水準の電気規格と燃焼性規格への適合性です。既存の材料は、高電圧試験で一貫した性能を示すことができませんでした。
- ヘンケルのコンフォーマルコーティング剤、Loctite(ロックタイト) Stycast CC 8555は、お客さまの多くの課題に対処できます。1液型のVOCフリー処方で、屋外のEV充電スタンドなど苛酷な環境下で使用されるハイパワーエレクトロニクス部品の回路基板と構成部品を堅牢に保護します。
お客様が使用する従来のコンフォーマルコーティングとの比較評価において、Loctite Stycast CC 8555は次の評価を得ました：
- 加工性 - 従来のコーティング剤より薄い膜厚でより良好な密着性を示し、穴あきがない均一な塗膜を形成している。Loctite Stycast CC 8555は紫外線で短時間で硬化し、乾燥炉は不要であることから、工程時間が短縮され、エネルギー使用量とコストも削減される。
- 材料使用量 - Loctite Stycast CC 8555は、溶剤系のコンフォーマルコーティング剤と比較して、3分の1から2分の1の吹付量で均一に塗布できる。廃棄物と大気への揮発量も低減され、コスト節減だけでなく、サステナブルなソリューションである。
- 信頼性および認証規格 - ヘンケルのコンフォーマルコーティング剤は業界で最も厳しい信頼性規格を満たし、UL 746E規格とUL 94 V0燃焼性規格に適合している。評価において、Loctite Stycast CC 8555はすべての高電圧試験の基準に合格し、本用途において信頼性を示した。
- 受賞実績のあるLoctite Stycast CC 8555に切り替えてからわずか3ヶ月で、このお客様は、スループットの向上、年間100,000ドル以上のコスト低減、100%の投資利益率を達成できました。Loctite Stycast CC 8555で保護された回路基板で組み立てた製品は、現場で問題なく動作しています。
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