サステナブルな家電製品を実現する接着技術

消費者の視点から見ると、環境に配慮した製品や、社会貢献・低炭素な取り組みを行うブランドに対して、世界の消費者はより高い価格を支払う傾向があります。

家電メーカーの視点から見ると、サステナビリティは、消費者の意識調査から製品開発、調達、サプライチェーン、生産、ブランディング、マーケティングに至るまで、あらゆる活動にシームレスに組み込まれています。大半のメーカーは、有害な材料の排除、カーボンニュートラルな製造フットプリントの追求、埋め立て廃棄物のゼロ化、再生可能エネルギーの使用拡大、製品のリサイクル可能率の向上などの明確な目標を定めています。

規制面や&政策面では、一つには、揮発性有機化合物（VOC）の含有量や危険有害物質および毒性物質の使用に関する規制の強化が見られます。また、世界各地の政策立案者は修理する権利を推進し、最近米国で施行されたインフレ抑制法（IRA）のように、エネルギー効率の高い家電製品にインセンティブを提供する動きがあります。

サステナビリティは、ヘンケルの企業目的である「Pioneers at heart for the good of generations」の中核をなすものです。2030+ Sustainability Ambition Framework（2030年以降の意欲的なサステナビリティフレームワーク）は、地球環境の再生、地域コミュニティの繁栄、ステークホルダーにとって信頼できるパートナーを目指し、変革を推進する目標を説明しています。

家電市場に目を向けてみると、いまだにバリューチェーンの多くのプレーヤーは、接着剤がサステナビリティに果たす役割を考慮に入れていません。 しかし、接着剤がサステナビリティにもたらす影響は非常に大きく、ヘンケルは次の重点分野での進展に注力しています：

ヘンケルは、家電メーカーによるスコープ1および2のCO2排出量、エネルギー消費量の削減と脱物質化をサポートしています。

製造段階での脱炭素化を図るために、よりエネルギー使用量の少ない硬化プロセスを推進し、製造工程の簡素化によって製造時の素材使用量を低減し、家電メーカーによる材料廃棄物やスクラップ削減をサポートしています。

また、インバーター式エアコンやエネルギー効率の高いスマート冷蔵庫、熱交換器、ヒートポンプなどグリーン家電の高い信頼性を実現することで、最終使用段階での脱炭素化にも積極的な役割を果たしています。

ヘンケルは、化石原料（原油や天然ガス由来）からバイオ原料（植物や木材由来）への切り替えによって、再生可能炭素含有量を最大限に高めるよう取り組んでいます。

その一方で、循環システムの構築を目指し、再利用、補修、改装、リマニュファクチャリングおよびリサイクルを目的として、完全に硬化させた異種基材を分離するための革新的な剥離技術の開発に取り組んでいます。

ヘンケルは、自社ソリューションの化学的安全性を高めて、お客様と消費者の労働安全衛生の向上を推進しています。

危険有害な原材料や製造時に蒸気を発生する溶剤、オキシム、イソシアネートなどの物質を配合から排除または使用量を低減することで、家電の製造段階における作業者の健康を確保します。

さらに、優れた難燃性と耐熱性を付与することで、製品使用段階での安全性を向上させます。

安全衛生に関する規制の推進を超えて、製造、塗布、最終使用段階までより確実に健康と安全が提供される製品を開発する責任を積極的に担っていきます。

以上のすべてにおいて、イノベーションは成功のための最も重要な要素の1つです。ヘンケルはイノベーションにいっそう注力することで、サステナビリティの先駆者としての立場を高め、サステナビリティに向けた市場の変化を加速させることができます。 

しかし、これは当社だけで実現できることではありません。お客様やバリューチェーンの他のプレーヤーとの強固で建設的な強力とパートナーシップも成功への鍵を握っています。 

製品定義や設計などの十分に早い段階でサステナビリティを推進することも重要です。